人に話すことで見えてくるもの

心の話

最初はおっかなびっくりだった。
仕事に怯え、未来に恐怖し、不安で泣いてばかりいた私に、カウンセリングに行こうと勧めてくれたのは旦那ちゃんだった。

自分で心理学を学んでいたにもかかわらず、カウンセリングという手法が果たして自分に合っているのかとても疑問だったし、何より私は口下手なのでうまく話せる気がしなかった。
とはいえ自分でもこのままじゃだめだと思ったからカウンセリングを受けることにした。

道案内をしてくれた旦那ちゃんと別れ、いよいよカウンセラーとふたりきり。
まずはプロフィールなどの簡単な話、抱えている問題について話し出す。

人の話を聞くのは好きだが、自分の話をするのが苦手な私はカウンセラーが投げかける質問に淡々と答えていた気がする。

でも本当は知っている。
私は元来とてもおしゃべりだった。
誰かとくだらない話をいつまでもしていたい、私の話を聞いて欲しいという願望があった。
いつからだろう、私は自分が話すことでそれが及ぼす影響が計り知れないことに恐怖を感じた。
わたしが話した何気ない一言が、その人の中でどんな風に作用するのか分からないことがとても怖かった。

わたしが好きなものを相手は嫌いかもしれない。私が嫌いなものを相手が好きかもしれない。そう感じるとよっぽど仲良くないとこの手の話は振れなくなった。
懐の探り合いを繰り返し、信頼の置ける関係になるまで自分からは触れようとしない、そんな感じ。
だから一度しか会ったことのない人と、何回か会った人とで私の印象はだいぶ違うと思う。

カウンセリング中に自然と涙が溢れる内容があった。カウンセラーは言った。

「人に関する話をするときだけ、涙が出ますね。」

やっぱり私は人が好きだし、人と関わりたいって思ってるんだと思う。
でも自分がかかわることでその人を傷つけてしまうことが怖くて、頼られるまでは黙っている、そんな風になってしまった。

人に話をすることで楽になることがあるって中学の時に知って、そこから私の夢は始まったはずなのに、いつの間にか私自身が人に話せなくなっていた。
人に話して見えてきたのは、はるか昔に抱いた小さな夢と、それに蓋をした過去に自分だった。

心の話

Posted by sayukana